【コラム】労働者の退職時における給料の支払い
1 労働基準法の定め
労働者が退職した場合の給与の支払いについて、あまり知られていない規定のように思いますが、労働基準法上、次のような条文があります。
(金品の返還)
第二十三条使用者は、労働者の死亡又は退職の場合において、権利者の請求があつた場合においては、七日以内に賃金を支払い、積立金、保証金、貯蓄金その他名称の如何を問わず、労働者の権利に属する金品を返還しなければならない。
例えば、給料日が月末締めの翌月末日払いだとして、労働者が1日に退職した場合、労働者から給料の支払いの請求があれば、7日以内に支払いをしなければならないということになります。
2 趣旨
労働者が退職した場合において、賃金、積立金その他労働者の権利に属する金品を迅速に返還させないと、労働者の足止め策に利用されることもあり、また、退職労働者の生活を困窮させることになります。さらない、時がたつに従って賃金の支払や金品の返還に不便と危険を伴うこととなるので、これらの関係を早く清算させるため、退職労働者等の権利者の請求のあった日から7日以内に賃金その他の金品を返還すべきことを規定したものです。
この条文に基づき賃金の支払または金品の返還を請求することができる「権利者」とは、一般には、労働者が退職した場合にはその労働者本人であると考えられています。また、「退職」とは、労働者の自己都合退職のみでなく、契約期間満了等による自然退職や使用者の都合による解雇等労働関係が終了した場合にすべてをいい、原因を問わないものとされています。
3 罰則
会社がこの規定に違反して労働者の請求があったにもかかわらず、7日以内に支払いをしない場合には、30万円以下の罰金に処されます(労働基準法130条)